December 30, 2012

てのひらの中の宇宙

前回こういう企画に参加していたら、そのあと本当に本が届いた
(いや、別に信じて無かったわけではなく)



届いたのが「てのひらの中の宇宙」
てのひらの中の宇宙 (角川文庫)

おお、これは「夏のロケット」に続いて宇宙モノが来た、と思って読み始めた5分後に私はもう一度表紙のタイトルを確認した。いいや、タイトルには『宇宙』という名が付いている、はずなのだが…?

冒頭から入院についてと、未来と明日かという二人の子供が私(父親)と一緒にメダカを捕まえるようになるまで読み進めて、一人で『はて、宇宙とは…?』となっていたのに、中盤からのカメの物語、そして子供たちのどこまでも続く探究心と母親の入院について進んでいくと、あとは一気に読んでしまった
父親である主人公の話かと思えば、その二人の子供がどんどんと世界を広げていく物語でもあり、父親が子供たちに紡いできた巨大なカメの物語でもあり、再発した癌に懸命に対抗しようとする母親とそれを支える家族の物語のようでもある。これはどれか、ではなく恐らくすべてがここに凝縮されているように思えた
むしろどれか一つだけでは成り立たない
だから父親の育児を題材にした話だし、SFでもあり、家族を描く話でもあり…だから結局巻末の言葉を借りるなら『川小説』というのが一番しっくりきた
言われてみればこれまで読んできたものも川小説だったな…と改めて気付いた
きっといま読み返せば川の存在にもう少し注目しただろう

謎の少年ははじめから誰なのかなんとなく見当がついていた。けれども『なぜ出てきたのか』がわからなかった
きっと大人になった自分のためではなく、子供たちのために出てきたのだと勝手に解釈している
子供というのはいつの間にか、宇宙は無限だけれど、自分たちが死ぬことを知っている
自分の時も少年時代の父親が色々と教えてくれればよかったのにと思いつつ、そういえば理系の父親が好奇心で電気回路についてまだ学校ですらならっていないことをアレコレ教えたり、本好きの母親が図書館に連れて行ってたまたま読んだ科学雑誌との出会いがなければこんなに宇宙を好きにはならなかったし、当時何台もあった自宅の父親自作PCに「SETI@home」を勝手に入れてしまうこともしなかっただろうなと思い出していた
残念ながら6年ほどやっていたのに一度も不思議なものは検知されなかったけれど、少年時代の両親ではなく当時の両親に十分に教えられていたのだなあとふと、年末年始に実家に帰らない親不孝を反省した


もっとも、それを詫びたら電話の向こうで両親が笑いながら
「また野球とサッカー見るために私たちがそっちに行くからいいのよ」
だそうで


それでいいんだ…(´・ω・`)

pfe at 23:47│Comments(0) レビューっぽいもの。 

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